遺言でどのようなことができますか?

 遺言でできる行為は法律で定められています。そのため、法律で定められていない行為は、法的な効力は生じることがありません。つまり、法律で定められた行為でない行為を遺言書に書いても、それを強制する力はありません。そこで、下記に法律で定められている遺言書に書ける事項をご紹介します。

 

相続の法定事項の修正に関する事項 

推定相続人の廃除
 被相続人に対し、虐待、重大な侮辱、著しい非行があった場合に、相続人となる者の相続権を失わせることができます。

推定相続人の廃除の取り消し

先祖の祭祀主宰者の指定
 お墓などを承継する人を指定することができます。

相続分の指定
 法定相続分とは違う相続分で相続させたいときに、各相続人の相続分を決めることができます。

特別受益の持ち戻しの免除
 特別受益者は、被相続人から生前に受けた特別受益も相続を受けた一部とみなされ、相続できる財産が減少するのが原則ですが、これと異なる指示をすることができます。

遺産分割方法の指定
 通常の遺言書で皆さんが書くことは、たいていがこのことでしょう。「誰に何を相続させる」といった内容の事を遺産分割方法の指定といいます。

遺産分割の禁止
 一定期間の遺産分割の禁止を指示することもできます。

遺産分割における担保責任に関する別段の定め
 遺産分割で取得した財産に瑕疵があった場合に、相続人はその責任を負担することになりますが、その責任についても細かく指示することができます。

遺贈の減殺方法に関する別段の定め
 遺留分減殺請求は、目的価格の割合に応じて減殺するのが原則ですが、それとは別の方法で減殺請求することを指示することができます。

 

相続以外の財産処分に関する事項 

遺贈
 相続人以外の者に財産を譲ることができます。

相続財産に属しない権利の遺贈についての別段の意思表示

財団法人設立のための寄付行為

信託の設定

生命保険金の受取人の変更

 

身分関係に関する事項 

認知

未成年後見人の指定

未成年後見監督人の指定

 

遺言の執行に関する事項 

遺言執行者の指定
 遺言書の指示通りに財産を管理し分配する執行者を選任することができます。

 

 

ペットに遺産を遺すことはできますか?

アメリカでは、愛犬が何億者遺産を相続したとのニュースがあったりしますが、日本では、ペットは法律上の権利義務の主体にはなれません。

しかし、今やペットも家族の一員と考えていらっしゃる方の多いでしょう。

そこで、自分の信頼できる人に遺産をある程度渡し、その人にペットの世話をさせるという手はどうでしょうか?これは、負担付遺贈というものを利用することで実現できます。ただ、遺贈は放棄することもできるので、生前からペットの世話を頼む旨、そのための財産を遺す旨をあらかじめ伝えておき、その方の同意を得ておくことが必要です。

 

成年被後見人も遺言を書くことができますか?

成年被後見人は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く者です。つまり、物事を判断する能力が欠けている状態だと認定されている状態なので、遺言書を書いても無効と判断される事になります。

しかし、被後見人が事理を弁識する能力を一時的に回復しているときに書いた遺言まで無効になるわけではありません。事理を弁識する能力を一時的に回復しているときに,医師2名以上の立会があり、立ち会った医師が、遺言に事理を弁識する能力があった旨を付記して、これに署名押印すれば、被後見人の書いた遺言も有効な物となります。

ただし、被後見人は遺言で何でもできるというわけではなく、一定の制限があります。どんな制限かというと、被後見人が後見人(直系血族及びその配偶者、兄弟姉妹を除く)の利益となる遺言を書くと、それは無効となるという制限です。これは、我々司法書士等の専門職後見人などが、被後見人の能力回復時に、自分の利益になるような遺言を無理矢理被後見人に作らせたりしないための規定です。

被後見人とは別で、被保佐人、被補助人は独りで有効な遺言を遺すことができます。遺言書を書くのに、保佐人、補助人の同意も必要ありません。被保佐人、被補助人は、事理を弁識する能力がないわけではないからです。

公正証書遺言作成の時の証人は誰でもいいですか?

誰でもいいわけではありません。

未成年者、推定相続人及び受遺者並びにその配偶者及び直系尊属は証人になることができません。証人は、遺言者に人違いがなく、遺言者の真意に基づいて作成された物であることを証明し、後日の紛争を未然に防ぐためものもです。したがって、法律上意志能力が完全ではない未成年者や、遺言の内容に利害関係がある推定相続人、受遺者は証人になっては、「紛争の回避」という趣旨と合わないからです。

また、法律には記載がありませんが、署名することができない人、意志能力のない人、耳の聞こえない人も証人になることができません。証人は、署名する必要がありますし、また、証人には、口授の内容が正確に筆記されているか確認することが要求されるからです。

相続人に浪費癖があり、自分の死後に財産を使い果たしてしまいそうで不安です。

遺言信託を利用するのはどうでしょうか?

遺言信託とは、特定の者に対し、財産の譲渡、担保権の設定、その他の財産の処分をする旨並びに、当該一定の者が財産を処分その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法を言います。簡単に言うと、相続人の誰かや、相続人以外の信用できる人に、相続財産を管理させ、毎月一定額を浪費癖のある相続人に渡してもらう等の事を遺言を使ってお願いする事です。

ただ、遺言は一方的な意思表示ですので、財産の管理をする人(受託者)にあらかじめお願いをしておくことが必要です。もしも、被相続人の死後に受託者に断られてしまったら、利害関係人は裁判所に新たな受託者の選任を申し立てることができます。

この他にも、遺言代用の信託という手段もあります。これは、被相続人が生前に自己の財産を信託し、自身の生存中は、自己を受益者として生活費などを受取り、自身の死後は、相続人が受益者となり、相続財産を受け取るという方法です。この方法は、被相続人が自分の元気なうちに、自分の意志で財産を受託者に移転するので、相続人の反対にあうことも少なく、紛争を防ぐという趣旨からはこちらもおすすめです。また、この方法は、高齢者が自身の意志能力低下に備えて、財産を管理してくれる人をあらかじめ選んでおくということにも利用できると思います。

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